【行政書士が解説】ひとり暮らしの方こそ書いておきたい自筆証書遺言

「自分には関係ない」と思っていませんか?
「ひとり暮らしだし、家族もいない。遺言書なんて大げさだ」そんなふうに感じる方は少なくありません。
しかし、実はひとり暮らしの方こそ、自筆証書遺言を書いておくべき立場にあります。
なぜなら、あなたに万が一のことが起きたとき、その後の手続きや財産の管理を引き受ける人が、誰もいない可能性が高いからです。
家族がいれば、葬儀・遺品整理・相続手続きは自然に進みます。
けれど、ひとり暮らしの方が亡くなると、銀行口座や不動産が「宙に浮いたまま」になってしまうケースが少なくありません。
そして、それをきっかけに“思わぬ人”が相続人として登場したり、大切な財産が国のものになってしまうこともあります。
このようなトラブルを防ぎ、あなたの想いを確実に未来へ届ける手段、それが、自筆証書遺言です。
自筆証書遺言とは?自分の手で書ける「正式な遺言書」
自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)とは、自分の手で全文・日付・氏名を書き、押印して作成する遺言書のことです(民法第968条)。
他人に頼らず、自宅でペン1本で作成できるため、「費用をかけずに今すぐ作れる遺言書」として多くの方に選ばれています。
自筆証書遺言のメリット
1. 費用がかからない(紙と筆記具のみ)
2. 自宅で自由に書ける(証人不要)
3. 何度でも書き直しが可能
4. 法務局に預けて安全に保管できる(保管制度あり)
自筆証書遺言のデメリット
書き方を間違えると無効になるおそれ
亡くなったあとに見つけてもらえないリスク
内容が不明確だと相続人間でトラブルになりやすい
つまり、「簡単だけど慎重に書く必要がある」遺言書です。
ひとり暮らしの方が遺言書を残すべき3つの理由
① 相続人がいないと、財産は最終的に「国のもの」になる
民法上、相続人が存在しない場合、遺産は最終的に国庫に帰属します(民法959条)。
つまり、あなたが築いた財産が、誰にも渡らず国に没収されてしまうということです。
「お世話になった友人に残したい」「好きな団体に寄付したい」
そうした想いは、遺言書がなければ一切反映されません。
自筆証書遺言で明確に「誰に何を渡すのか」を書いておけば、あなたの希望をそのまま実現することができます。
② 親族関係が薄いほど、手続きが滞りやすい
ひとり暮らしの方の中には、「遠い親戚しかいない」「疎遠で連絡も取っていない」という方も多いでしょう。
そのような場合、亡くなった後の手続きが誰にもできず、銀行口座や賃貸物件が放置されるケースが頻発しています。
たとえば
アパートで孤独死した場合、大家が困っても遺品を処分できない
銀行口座は凍結され、家賃や公共料金の支払いが滞る
親戚がいないため、葬儀や遺産整理を引き受ける人がいない
これらは、遺言書に遺言執行者を指定しておくことで解決できます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実際に実行してくれる人のこと。
信頼できる友人、または行政書士などの専門家を指定しておけば、あなたの代わりにすべての手続きを進めてくれます。
③ 「誰にも迷惑をかけたくない」想いを形にできる
ひとり暮らしの方の多くは、「死後に誰かに迷惑をかけたくない」と考えます。
自筆証書遺言は、その想いを具体的な形にできる手段です。
たとえば、
お墓や葬儀の希望を書いておく
デジタル遺品(スマホ・SNSアカウント)の取り扱いを指定
ペットの引き取り先を明記
形見分けの希望を記載
こうした小さな希望も、遺言書に記しておけば、残された人が迷わず対応できます。
法務局の「遺言書保管制度」で安心をプラス
2020年7月からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」。
これは、法務局が本人の遺言書を安全に保管してくれる制度です。
▷ 特徴とメリット
- 保管手数料は1通3,900円
- 全国の指定法務局で手続き可能
- 亡くなった後、相続人は「遺言書情報証明書」を請求して内容を確認できる
- 家庭裁判所の「検認」が不要
つまり、法務局に預けておけば、「遺言書を見つけてもらえない」「改ざんされる」といった心配がなくなります。
行政書士に相談すれば、文案作成から保管申請までトータルでサポート可能です。
書き方のポイント:想いを正確に伝えるために
【1】財産を具体的に書く
「〇〇銀行〇〇支店の預金」「鹿児島市〇〇町の土地」など、
特定できるように記載します。曖昧な表現はトラブルのもとです。
【2】受取人の氏名を正確に
「いとこのAさんへ」ではなく、「住所・氏名」を正式に書きましょう。
【3】日付・署名・押印を忘れずに
これらは遺言の必須要件。1つでも欠けると無効になります。
【4】付言事項で“感謝の言葉”を残す
遺言書の最後に、法的効力のないメッセージを添えることができます。
「お世話になった皆さんへ感謝を込めて」など、心を込めた言葉を残すことで、
遺言書が“想いの手紙”になります。
よくある失敗例と注意点
1. 日付が抜けている/複数の日付がある → 無効
2. パソコンで作成した部分がある → 無効
3. 訂正の仕方を間違えた → 無効
4. 遺留分(相続人の取り分)を無視した → トラブルに発展
自筆証書遺言は自由度が高い反面、
一文字の違いで効力を失うこともあります。
そのため、作成前に行政書士など専門家のチェックを受けることが非常に大切です。
行政書士に相談するメリット
行政書士は、遺言書の内容が法律的に有効になるよう整える専門家です。
また、あなたの想いを尊重しつつ、トラブルの起きない表現に仕上げることができます。
行政書士に相談することで、次のような安心が得られます。
有効要件をすべて満たした文案を作成できる
書き方や訂正のルールを丁寧に説明してもらえる
法務局保管制度の申請をサポートしてもらえる
遺言執行者の指定や死後事務の相談も可能
まとめ:「遺言書=死後の話」ではなく「生き方の話」
遺言書というと、「死ぬ前に書くもの」というイメージがあります。
しかし実際には、「どう生きたいか」「どう終わりたいか」を考えるための書類です。
ひとり暮らしの方にとって、自筆証書遺言は「最期の備え」ではなく、「自分らしく生きるための安心のツール」なのです。
いざというとき、誰かがあなたの想いを正確に受け取れるように。
今日から少しずつ、自分の財産と心を整理してみませんか?
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