【行政書士が解説】自筆証書遺言が“揉める”のはどんなケース?

遺言書作成
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自筆証書遺言の人気が高まる一方で…

近年、「自筆証書遺言」を作成する方が増えています。

2020年に始まった法務局での遺言書保管制度により、これまでよりも安全に保管できるようになったことが大きな理由です。

紙とペンさえあれば作れる“手軽さ”が魅力の自筆証書遺言ですが、実は「揉めやすい遺言書」になってしまう危険性も高いのが現実です。

遺言書は、亡くなった後に内容が確認されるもの。その時に「言葉の解釈が曖昧」「書き方に不備がある」「家族が納得できない」といった問題があると、かえって相続トラブルを招くことがあります。

今回は、行政書士の立場から、自筆証書遺言が“揉める”典型的なケースと、それを防ぐための対策を詳しく解説します。

よろしければ、過去の記事も併せてご覧ください。


そもそも「自筆証書遺言」とは?

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で全文を書く遺言書です。

費用がかからず、自宅でも書けるため、最も身近な遺言の方法として知られています。

しかし、法律で定められた形式(民法第968条)を守らないと無効になることもあります。

自筆証書遺言の基本ルール

  • 全文、日付、氏名を自書(自筆)する
  • 押印する(認印でも可)
  • 財産目録はパソコン作成でもOK(署名押印が必要)
  • 遺言書の保管は法務局に預けることも可能

形式は一見シンプルですが、実際には書き方のミスや内容の曖昧さがトラブルのもとになります。


自筆証書遺言が“揉める”5つの典型ケース

① 書き方の不備で「無効」になってしまうケース

自筆証書遺言は、自分一人で書ける反面、法律の形式に不備があると無効になるリスクがあります。

たとえば次のような例です。

  • 日付が「令和5年○月吉日」となっている(無効になるおそれ)
  • 押印がない
  • 修正箇所の訂正印が押されていない
  • 全文を自筆していない(代筆・パソコン入力)

これらの形式ミスは、内容が正しくても法的に認められない場合があります。

せっかくの想いが反映されず、家族間で混乱が生じるのです。


② 財産の記載があいまいで特定できないケース

「長男に土地をあげる」とだけ書かれていても、どの土地なのか、どの名義のものかが不明確だとトラブルになります。

実際には、

  • 同名義の不動産が複数ある
  • 住所や地番が一部違う
  • 銀行口座が統合・変更されている

といった事情があり、「どの財産を指しているのか」がわからなくなることが多いのです。

財産は、「所在地」「登記簿番号」「口座番号」など、具体的に特定できるように書くことが必須です。


③ 相続人の指定が曖昧なケース

「妻にすべてを託す」といった書き方も、法的には曖昧な表現になります。

妻が正式な婚姻関係にある配偶者であれば問題ないのですが、「事実婚」「内縁関係」「養子縁組前の子ども」などが関係する場合、遺言書の文言によっては法的効力が弱くなることもあります。

また、「長男に相続させる」と書いても、もし養子や再婚で子が複数いる場合は、どの長男を指すのか明確でなければなりません。

相続人を指定する際は、氏名・生年月日・続柄を正確に記載しましょう。


④ 「遺留分」への配慮がなく、相続人から反発されるケース

民法には、一定の相続人に対して「遺留分」という最低限の取り分が認められています。

たとえば、子や配偶者がいる場合、たとえ「長男に全財産を相続させる」と書いても、他の相続人が遺留分侵害額請求を起こすことができます。

実際、「兄だけにすべて相続させる」と書かれた遺言書が原因で、弟が家庭裁判所に申し立てを行い、結果的に争いが長期化する例もあります。

遺言書は自由に書ける反面、法律上の権利(遺留分)を無視すると確実に揉めるのです。

行政書士に相談すれば、遺留分を考慮した上で、家族全員が納得できる内容に整えることができます。


⑤ 付言事項で“余計な感情”を書いてしまうケース

自筆証書遺言では、本文のほかに付言事項として自由にメッセージを書くことができます。

「長男に迷惑をかけた」「次男には期待していない」など、つい感情的な言葉を書きたくなる方もいます。

しかし、それが原因で家族の感情的対立を悪化させることもあります。

付言事項はあくまで「感謝」「願い」など、前向きな内容にとどめるのが理想です。

行政書士の立場からも、「付言は愛情をもって簡潔に」が鉄則です。


揉めないための3つの対策

① 行政書士や専門家に内容を確認してもらう

最も確実なのは、専門家にチェックしてもらうことです。行政書士は、遺言書の作成支援や文案作成を日常的に行っています。

法的に有効な書式か

財産・相続人の特定が正しいか

遺留分を侵害していないか

トラブルになりにくい文言か

といった点を、第三者の立場で確認できます。


② 公正証書遺言への切り替えも検討する

「絶対に揉めたくない」「確実に実行してもらいたい」という方には、公正証書遺言をおすすめします。

公証人が関与し、公証役場で原本を保管するため、紛失・改ざん・形式不備の心配がありません。

行政書士が原案作成を行い、公証役場とのやり取りも代行できるので、手間も最小限に抑えられます。


③ 法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用する

2020年に始まった自筆証書遺言保管制度を利用すれば、法務局で遺言書を安全に預けることができます。

検認手続きが不要

紛失や改ざんのリスクがない

相続人がスムーズに遺言内容を確認できる

費用も3,900円と安価

「自宅の引き出しにしまっておくよりはるかに安全」といえるでしょう。


行政書士に相談するメリット

自筆証書遺言は「自分で書ける」と思われがちですが、法的にはとても繊細な文書です。

行政書士に相談すれば、

有効な遺言書の作成サポート

財産目録や相続関係図の作成代行

公正証書遺言への切り替え支援

相続トラブルの予防提案

といった専門的なサポートを受けられます。

遺言は「死の準備」ではなく、「家族の安心のための準備」。

専門家と一緒に作ることで、より確実で安心な遺言書が残せます。


まとめ:揉めない遺言書は「正しく書いて、正しく残す」

自筆証書遺言が揉める最大の原因は、「気持ちだけで書いて、法的な確認をしていないこと」です。

形式のミス、表現の曖昧さ、相続人の不満——

これらを防ぐには、法律のルールに基づいた正しい書き方と保管方法が欠かせません。

あなたの大切な想いを確実に届けるために、一度、行政書士に相談してみてください。

きっと「作ってよかった」と思える遺言書に仕上がるはずです。

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