【行政書士が解説】相続人がいない人の“死後の手続き”は誰がしてくれる?

目次

相続人がいないという現実

「自分には結婚した家族もいないし、子どももいない。亡くなったあとの手続きは、誰がしてくれるのだろう?」
こうした不安を感じている“おひとりさま”の方が、近年とても増えています。

日本では高齢化とともに単身世帯が増え、総務省の調査によると65歳以上の単身者は全国で700万人を超えるといわれます。

一方で、「死後の手続き」や「相続の処理」について、事前に準備をしている人はごくわずかです。

この記事では、法定相続人がいない場合に、誰があなたの死後の手続きを行うのか、そして「今のうちにできる現実的な対策」について、行政書士の立場から詳しく解説します。


法定相続人がいないとは?

まず、「相続人がいない」とはどのような状態を指すのでしょうか。

民法上、相続人になれる人は次の通りです。

第1順位:子ども(または孫)

第2順位:父母(または祖父母)

第3順位:兄弟姉妹(または甥・姪)

そして常に相続人となる配偶者

このいずれの人もいない場合、相続人不存在(そうぞくにんふぞんざい)の状態になります。

つまり、遺産を受け取る人が誰もいないということです。

たとえば、結婚しておらず、子どももいない。両親・兄弟姉妹・甥姪もすでに亡くなっている。

こうした場合が典型的です。


相続人がいない場合の「死後の手続き」の流れ

人が亡くなると、さまざまな手続きが必要になります。

ただし、相続人がいない場合には、これらを誰も行わないまま放置されてしまうリスクがあります。

ここでは、相続人がいない人が亡くなったとき、実際にどのような流れになるのかを整理してみましょう。


① 市区町村が死亡届・火葬手続きを行う
身寄りのない方が亡くなった場合、まず行われるのが「死亡届」の提出です。
病院や施設で亡くなった場合には、市区町村の福祉課や生活保護担当部署が代理で手続きを行うケースもあります。
その後、自治体が火葬や納骨を手配し、無縁仏として合同墓地などに埋葬されることが一般的です。
この時点で、葬儀やお墓の希望が伝えられていないと、自分の望んでいない形で処理されてしまうことも少なくありません。
② 財産の管理人が選ばれる(相続財産管理人)
相続人がいない場合、あなたの財産(預貯金・不動産など)はすぐに国に渡るわけではありません。
まず家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。
この管理人は、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家が務めることが多く、財産を調査・整理し、債務(借金や税金など)を清算していきます。
③ 相続人を探すための公告
管理人は、「本当に相続人がいないのか」を確認するために公告を出します。
官報などに「〇〇さんの相続人は申し出てください」と一定期間掲載し、名乗り出る人を待つのです。
この期間は6か月以上と定められています。
つまり、亡くなっても半年以上は手続きが続くことになります。
④ 最終的に財産は国庫に帰属する
公告期間を経ても誰も現れなかった場合、残った財産は国庫(国の財産)になります。
これがいわゆる「相続財産の国庫帰属」です。
つまり、遺言書がなければ、あなたの財産はすべて国のものになるということ。
お世話になった友人や団体に渡すことは、遺言書なしでは不可能です。

死後の手続きは意外と多い

—亡くなった後に発生する手続きは、実は非常に多岐にわたります。

主なものを挙げてみましょう。

病院・施設への連絡、入院費の清算

住居の明け渡し、遺品整理

電気・ガス・水道・携帯電話などの契約解除

銀行口座の解約、保険金請求

各種クレジットカード・サブスクの停止

納骨・永代供養の手配

税務申告・年金の停止

これらを行う人がいなければ、残された財産や契約が宙に浮いたままになります。

その結果、家賃の滞納や公共料金の未払いが続くなど、社会的なトラブルに発展することもあります。


相続人がいない人の「死後の手続き」を誰に頼むか?

では、実際に自分に相続人がいない場合、誰に死後のことを任せればいいのでしょうか。

ここで重要なのが、生前に信頼できる人や専門家に依頼しておくということです。

代表的な方法を3つ紹介します。

① 「死後事務委任契約」を結ぶ

「死後事務委任契約(しごじむいにんけいやく)」とは、

自分の死後に行う事務手続きを、あらかじめ信頼できる人(または行政書士など)に委任しておく契約です。

この契約を結んでおくことで、亡くなったあと次のような手続きを依頼できます。

病院や施設への連絡

葬儀・火葬・納骨の手配

家の片付け、遺品整理

公共料金・携帯電話などの解約

行政への届け出や各種書類の提出

契約は生前に公正証書で結ぶのが一般的です。

行政書士が契約書の作成や内容設計をサポートできます。


② 「遺言書」で財産の行き先を決めておく

死後の手続きとは別に、財産の分配先を決めるには遺言書が必要です。

相続人がいない場合でも、遺言書を作っておけば、

仲の良い友人

お世話になった介護施設

支援したい団体(NPO・寺院など)

へ「遺贈」という形で財産を託せます。

また、遺言執行者を指定しておくことで、あなたの代わりに遺言の内容を実行してくれます。

行政書士などの専門家を指定しておけば、確実に意志を実現できます。

③ 「任意後見契約」で生前のサポートも備える

死後のことだけでなく、生前の判断能力が衰えたときの備えも必要です。

「任意後見契約」を結んでおけば、財産管理や生活支援を信頼できる人に任せられます。

銀行や役所の手続き

医療・介護サービスの契約

日常の支払い管理

死後事務委任契約・遺言書と組み合わせることで、「生前から死後まで」を一貫してサポートしてもらうことが可能になります。


行政書士がサポートできること

行政書士は、法律に基づく「書面作成の専門家」です。

相続人がいない方の死後対策として、次のようなサポートが可能です。

遺言書の作成支援(自筆証書・公正証書)

死後事務委任契約書の作成

任意後見契約の設計

公証役場・関係機関との調整

遺言執行者や死後事務受任者としての受任

特におひとりさまの場合、証人の手配や手続きの連携も一括で対応できます。

「誰に頼めばいいかわからない」という方にとって、行政書士は最も身近な法務パートナーです。


まとめ:相続人がいない人こそ死後の備えを

相続人がいないということは、あなたの意思を代わりに実現してくれる人がいないということです。

遺言書や死後事務委任契約を準備しておけば、葬儀・納骨・財産の行き先まで、すべて自分で決めることができます。

「誰にも迷惑をかけたくない」

「自分のことは自分で終わらせたい」

そんな方にこそ、今のうちの備えが大切です。行政書士はその思いを形にするお手伝いをいたします。


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