【行政書士が解説】代襲相続とは？孫に相続権が移るケース
「親よりも先に子が亡くなってしまった場合、相続はどうなるの？」相続のご相談を受けていると、こうした疑問をいただくことがよくあります。
なかでも混乱しやすいのが 「代襲相続（だいしゅうそうぞく）」 の仕組みです。
代襲相続は、法律を知らないまま話を進めてしまうと、本来もらえるはずの相続分を見落としてしまったり、逆に不要なトラブルを生んでしまうことがある重要な制度です。
この記事では、名古屋市で行政書士として多くのご家庭の相続に携わってきた立場から、初心者でも確実に理解できる「代襲相続」のポイントと、孫に相続権が移る具体的なケースについて、やさしく、そして実務目線で解説していきます。
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代襲相続とは？
まず、法律上の定義を一言でまとめると
これが代襲相続です。
相続は本来、配偶者のほか、子ども・親・兄弟姉妹など、法律で定められた順番で行われます。
しかし、実際のご相談では「相続人となるはずの子が先に死亡している」というケースは珍しくありません。
そのまま「いないもの」と扱ってしまうと、故人の思いを反映しきれなかったり、遺産分割が不公平になってしまうおそれがあるため、法律は代襲相続という仕組みでバランスを取っています。
代襲相続が起こるのはどんなとき？
次のようなケースが典型的です。
● ケース1：被相続人より子が先に死亡している場合
最も分かりやすいのがこのケースです。
例：
父（被相続人）
│
├─ 長男（すでに死亡）
│ └─ 長男の子（孫）
└─ 長女（存命）
この場合、孫が代襲相続人となり、本来 長男が受けるはずだった相続分を、そのまま孫が受け継ぎます。
つまり、
孫は「長男と同じ立場」で相続に参加
長女と相続分を“同列”で計算する
というイメージです。
● ケース2：代襲がさらに続く「再代襲相続」
実は、代襲相続は1回だけとは限りません。
代襲相続人となる孫がすでに亡くなっていた場合には、その子（曾孫）が相続人となります。
これを「再代襲相続」と呼びます。
ただし、再代襲相続が認められるのは “子の系統” のみであり、兄弟姉妹の系統では1代限りで止まる点に注意が必要です。
代襲相続が起こる親族と起こらない親族
代襲相続が使える相続人は決まっています。
代襲相続が起こる
- 子 → 孫 → 曾孫…（直系卑属）
- 兄弟姉妹 → 甥・姪（1代のみ）
代襲相続が起こらない
- 配偶者（そもそも血族ではなく姻族）
- 父母・祖父母など直系尊属
- おじ・おばなど傍系親族
つまり「血の流れが下に続く系統のみが代襲できる」と覚えるとわかりやすいでしょう。
孫が相続人になる具体例で理解する
ここからは、実務でよくある相談例を元に分かりやすくイメージしてみましょう。
【例1】 孫が2人いる場合（長男が死亡）
家族構成：
父（被相続人）
│
├─ 長男（すでに死亡）
│ └─ 孫A、孫B
└─ 次男（存命）
本来の法定相続分：子ども2人 → 1/2ずつ
長男が亡くなっているため、孫A・孫Bが長男の1/2をそのまま引き継ぎます。
つまり、
次男…1/2
孫A…1/4
孫B…1/4
ここで注意したいのは、孫同士の取り分は「長男の相続分を人数で割る」ということ。
「孫だから少なくなる」というわけではありません。
【例2】 孫が1人だけの場合
家族構成：
父（被相続人）
│
├─ 長男（すでに死亡）
│ └─ 孫A
└─ 次男（存命）
孫が1人であれば、長男の1/2を、そのまま孫が単独で相続します。
次男…1/2
孫A…1/2
相続人が少ないほど取り分は大きくなるため、「孫の取り分は少しだけ」というイメージは誤解です。
【例3】 次の世代に相続が移る「再代襲」ケース
家族構成：
父（被相続人）
│
├─ 長男（死亡）
│ └─ 孫A（死亡）
│ └ 曾孫（存命）
└─ 次男（存命）
この場合、曾孫が長男の相続分を引き継いだうえ、孫Aの相続分をもそのまま受け取るという形になります。
次男…1/2
曾孫…1/2
代襲相続が「相続トラブル」につながりやすい理由
実務上、代襲相続が絡んだ遺産分割はご家族が想像するより複雑になります。
その理由は次のとおりです。
- 相続人の人数が予想以上に増える
兄弟の子ども（甥・姪）が相続に参加したり、さらにその子が関係する場合もあります。
- 「顔を合わせたこともない」親族が相続人になる
被相続人と疎遠だった孫や甥・姪が急に相続に関わることになると、話し合いがまとまりにくくなります。
- 相続分の計算が複雑で、誤解が生じやすい
「孫は相続できないと思っていた」「兄の子どもにそんな権利があるなんて聞いていなかった」といった誤解から感情的な対立が生まれやすいのです。
代襲相続トラブルを防ぐためにできること
行政書士として相談を受けるなかで強く感じるのは、「事前に正しい知識を持って、家族で話しておく」ことが最も有効な予防策だということです。
ここからは、具体的にできる対策をご紹介します。
1. 正確な相続人を“早い段階で”確認しておく
代襲相続が発生するかどうかは、戸籍をしっかり追わないと分かりません。
「長男には子どもがいると思っていたけど、実は離婚していて孫はいなかった」
というケースは珍しくありません。
専門家に依頼すれば、出生から死亡までの戸籍を正確に集め、誰が相続人になるのかを明確にできます。
2. 遺言書を作成し、相続の方向性を示しておく
代襲相続が絡むと、話し合いは自然と複雑になります。
しかし、遺言書があるだけで状況は一変します。
誰に遺産を渡したいのか
どのような割合にしたいのか
特定の財産を誰に託したいのか
こうした想いを、法律に沿って文書に残すだけで、家族間の争いは大きく減らせます。
3. 家族が集まるタイミングで、軽くでも話題にしておく
「相続の話をするのは縁起が悪い」
そんなふうにおっしゃる方もいます。
しかし、“何も話さないまま突然の相続を迎えることこそ、家族の負担になる”というのが現場の実感です。
代襲相続が発生する可能性が高いご家庭では、せめて「いざという時に困らないように準備しておこうね」といった声掛けだけでも、大きな前進になります。
行政書士として感じる「代襲相続」サポートの大切さ
相続は、法律上の制度であると同時に、家族の歴史や人間関係がそのまま表れる場でもあります。
代襲相続が絡む相続は、
亡くなった方の思い
先に亡くなった子の人生
そして残された家族の気持ち
が複雑に交差します。
手続きだけの問題ではなく、「どう進めれば、家族全員が納得できるか」を丁寧に紐解いていく必要があります。
女性行政書士の立場から、細かな気づきや気持ちの部分を大切にしながら、それぞれのご家庭に合ったサポートを続けていきたいと考えています。
まとめ：代襲相続は“知らないと損をする”大切な制度
代襲相続とは、相続人となる人が先に亡くなっていた場合、その子（孫）が相続する仕組み。
特に子の系統では何代にもわたって相続権が受け継がれます。
しかし、現実の相続では
相続人が増える
連絡のつかない親族が発生する
相続分の計算が複雑
感情的な対立が生まれやすい
といったトラブルの火種になりやすい制度でもあります。
「うちは関係ない」と思っていたご家庭で代襲相続が発生することは珍しくありません。
早めに相続人を確認し、必要に応じて遺言書を準備しておくことが、確実なトラブル防止につながります。
相続は、家族の未来に向き合う大切な機会です。不安な点があれば、どうぞ一度ご相談ください。
専門家として、そして同じ家族を持つひとりの女性として、あなたのご家庭にとって最善の道を一緒に考えてまいります。
名古屋市緑区の相続相談はけいか行政書士事務所へ
遺産分割協議書の作成サポート、相続人調査・戸籍収集代行、遺言書との整合性チェック、お気軽にご相談ください。
初回相談で「やるべきこと」が明確になります。
家族の気持ちや背景に寄り添えるのは、女性行政書士ならではの強みだと思っています。
感情の整理がつかないときも、安心してお話いただけるよう丁寧にサポートいたします。
初回相談は無料で承っております。
