【行政書士が解説】相続人の一人が“行方不明”の場合どうする?

相続のご相談をお受けしていると、一定数の割合で耳にするのが、

「相続人の一人と連絡が取れない」「兄弟が何年も音信不通」

といったケースです。

相続手続きでは、たった一人の相続人と連絡がつかないだけで、遺産分割協議が一切進まなくなるため、家族にとって大きなストレスとなります。

この記事では、女性行政書士の視点から、行方不明の相続人がいる場合の正しい対応方法と、実務で必ず押さえておくべきポイントを、分かりやすくまとめました。

相続人調査・不在者財産管理人・失踪宣告といった専門的な制度も、できるだけ噛み砕いて説明しています。

同じ状況でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

相続手続きは「相続人全員」の参加が絶対条件

まず押さえていただきたい大原則があります。

それは、

相続手続きは、相続人全員の参加がなければ成立しない

ということです。

遺産分割協議書に一人でも署名・押印が欠けていると、その協議は無効になってしまいます。

そのため、

  • 相続人と10年以上連絡が取れていない
  • 海外に行ったまま音信不通
  • 家族と絶縁して所在不明
  • 住所は分かるが連絡がつかない

こうした状況では、通常通りの相続手続きは進みません。

では、どう対応すればよいのでしょうか?

ポイントとなるのは次の2つの制度です。


行方不明の相続人がいるときの主な対応方法は2つ

行方不明者が相続人に含まれる場合、法律上の手続きは大きく分けて2つ。


① 不在者財産管理人を選任する(家庭裁判所)

もっとも多く利用されるのが、この **「不在者財産管理人」**の制度です。

行方不明人の代わりに、家庭裁判所が選任した管理人が遺産分割協議に参加できるため、手続きが前に進みます。

どんな場合に使う?

  • 数か月〜数年連絡が取れない
  • 現住所が分からない
  • 家族や知人にも連絡先が不明

行方不明期間の長さに厳密な基準はなく、「所在が不明であり、本人と連絡が取れない状態」であれば申立てが可能です。

申立てを行う人は?

通常は、

  • 他の相続人
  • 利害関係人(債権者など)

が家庭裁判所に申立てます。

必要書類(代表例)

不在者の戸籍謄本

不在者の最後の住所の住民票除票

行方不明の経緯を説明する書類

財産目録

他相続人の戸籍関係書類

など

(このあたりは行政書士がサポートする部分です。)

不在者財産管理人は何をする?

  • 行方不明者の財産を保全
  • 遺産分割協議に参加
  • 協議内容が「不在者に不利益でないか」をチェック

そのため、本人の不利益となる協議内容では家庭裁判所の許可が必要となります。


② 失踪宣告を申し立てる(7年間行方不明の場合)

より厳しい制度として 「失踪宣告」があります。

✔ 7年以上生死不明

✔ 災害・事故失踪の場合は1年で可能

など、法的な基準が明確に定められています。

失踪宣告が認められると…

→ 行方不明者は法律上「死亡した」とみなされる

つまり、相続人ではなくなります。

ただし失踪宣告には非常に慎重な運用が求められるため、不在者財産管理人に比べると利用頻度は多くありません。


行方不明者がいる場合の実際の手続きの流れ

ここからは、実務でよく行う流れを整理します。


STEP1|相続人調査(戸籍の収集)

相続の基本は、まず誰が相続人なのかを確定すること。
被相続人の出生から死亡までの連続戸籍、行方不明者の戸籍、他相続人の戸籍をすべて揃えます。
行方不明者の戸籍が転籍していれば、最後の住所地も確認できます。
STEP2|行方不明者の所在調査
行政書士の業務として行える範囲には限界がありますが、郵送での連絡、最後の住所地への訪問、親族・勤務先への確認(可能な範囲で)など、できる限りの連絡手段を試みます。
これでも所在が分からない場合、「不在者であることの証明」として家庭裁判所へ提出する材料となります。
STEP3|家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任申立て
各相続人に事情説明を行い、家庭裁判所へ申し立てます。
選任されるのは一般的に、弁護士、司法書士、場合によっては親族です。
STEP4|不在者財産管理人が協議に参加
選任された管理人が、行方不明の相続人の利益を守りながら協議を行います。
遺産分割協議書にも、管理人が代理として署名します。
STEP5|遺産分割協議の成立→各種相続手続きへ
協議が整えば、不動産の相続登記、預貯金の解約・名義変更、有価証券や保険の手続きなどがようやく進められます。

行方不明者がいる場合によくあるトラブルと注意点

相続手続きで特に多いのが、次のようなケースです。


① 署名が揃わないまま不動産を売却しようとする

相続登記ができないため、当然ながら売却もできません。

焦って進めるより、まずは制度を利用して手続きを整えることが大切です。


② 行方不明者が借金を持っている可能性

相続人は「財産」だけではなく「負債」も相続します。

不在者であっても例外ではないため、必ず財産調査は慎重に行う必要があります。


③ 管理人の選任に時間がかかる

申立てから選任まで、1〜3か月ほどかかることがあります。

相続税の申告期限(10か月)との関係もあるため、早めの着手が重要です。


専門家に相談すべきタイミング

行方不明の相続人がいる場合、ご自身だけで判断して動くと、後で協議が無効になるリスクがあります。

次のような時は、早めに専門家へ相談してください。

  • 相続人の1人と数年以上連絡が取れない
  • 最後の居住地が不明
  • 海外へ行ったまま音信不通
  • 相続財産の額が大きい
  • 他の相続人と意見が分かれている

行政書士は、戸籍収集・相続人調査・家庭裁判所への必要書類の作成支援などを中心にサポートできます。


まとめ:行方不明の相続人がいても手続きは進められる

相続人の一人が行方不明でも、法律上きちんと手続きを踏めば相続は進めることができます。


✔ 不在者財産管理人の選任(一般的)

✔ 失踪宣告(7年以上の生死不明)


ただ、これらの手続きは専門的で時間も労力もかかります。

また、協議の進め方を間違えると後で無効となり、遺産分割をやり直すこともあります。

行方不明者が含まれる相続は、ぜひ早めに専門家へご相談ください。


名古屋市緑区での相続の相談は、けいか行政書士事務所にお任せください

けいか行政書士事務所では、遺言書の作成支援・相続人調査・相続手続き代行など、相続に関するご相談を幅広く承っております。

家族の気持ちや背景に寄り添えるのは、女性行政書士ならではの強みだと思っています。

感情の整理がつかないときも、安心してお話いただけるよう丁寧にサポートいたします。

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

お問い合せは24時間受け付けております。お気軽にお問合せください。

    名古屋市緑区を中心に、広く出張対応しております。
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