【行政書士が解説】相続とは何か?まず知っておきたい3つの基本ルール

「相続って、結局どういう仕組みなんですか?」
行政書士としてご相談を受けていると、最初の段階で必ず聞かれる質問です。
相続は、誰にとっても一生に何度も経験するものではなく、しかも突然始まるもの。
そのため、亡くなった直後には多くの方が戸惑い、
「何から手を付ければいいのかわからない」という状況になりがちです。
しかし、相続には民法で定められた基本ルールが存在します。
この基本を理解しておくだけで、相続の全体像が一気にクリアになり、トラブルを未然に防ぐことができます。
本記事では、相続の仕組みを根本から理解するための
知っておくべき3つの基本ルール
を、行政書士の視点から分かりやすく、実務に即して解説します。
相続の基本ルール①
相続は「亡くなった瞬間」に自動的に始まる
相続は、遺族の気持ちとは関係なく、法律上は亡くなった瞬間に開始する(民法882条)というルールがあります。
相続が始まると何が起こる?
相続が開始すると、次のような法律上の効果が即座に生じます。
- 故人が持っていた財産・権利・義務が相続人に引き継がれる
- 銀行口座が凍結される
- 相続放棄や限定承認の熟慮期間(3か月)がカウント開始
- 遺産の調査が必要になる
- 不動産の名義変更や相続税の検討が必要になる
「まだ悲しみが癒えないのに…」と感じるご家族が多いのですが、相続手続きは時間との勝負という側面があります。
しかし、驚かれるのはここからです。
相続で引き継ぐのは、財産(プラスの資産)だけではありません。
実は、故人が抱えていた
- 借金
- 連帯保証
- 未払いの税金・公共料金
といった“マイナスの財産”も相続に含まれます。
そのため、本来は相続人は「相続するか/しないか」を判断する必要があります。
その判断期限が“3か月以内”というルールにつながるのです。
相続の基本ルール②
相続できる人=「法定相続人」は民法で順番が決まっている
相続において最も誤解されやすいポイントは
相続人は「家族会議で決めるもの」ではなく、民法で“決まっている”ものです。
行政書士として面談していても、
「長男が全部を相続するんですよね?」「同居していたから、きょうだいは関係ないですよね?」
と言われることがよくありますが、実はこの考え方は誤りです。
法定相続人は血縁と婚姻で決まる
【第1順位】子(直系卑属)・・・子が亡くなっている場合は孫が代襲相続(養子、認知した子、非嫡出子も等しく相続人)。
【第2順位】父母(直系尊属)・・・子がいない場合のみ。
【第3順位】兄弟姉妹・・・父母もいない場合のみ。※兄弟姉妹の代襲相続は甥姪まで(その先は不可)
そして、配偶者は常に相続人(順位がない)という特別ルールがあります。
家族の“関わり方”や“生活状況”は相続人の決定に影響しない
「介護をしてきた子」「実家を継ぐ予定だった長男」「疎遠だった兄弟」
といった要素は、相続人の順位には一切影響しません。
これはとても重要な原則で、現場ではこの理解不足からトラブルが起きるケースが非常に多いのです。
相続人の確認は戸籍で行う
相続人を正確に決めるには、
故人の出生から死亡までの「全ての戸籍」、相続人の現在戸籍
を収集して確認します。
結婚・離婚・養子縁組・認知など、戸籍の変遷を一つひとつ追っていく作業は、一般の方には大変な負担になります。
行政書士の業務で最も多いのが「相続人調査・戸籍収集」の代行である理由は、この煩雑さにあります。
相続の基本ルール③
遺産の分け方=「法定相続分」は割合が決まっている
相続人が誰であっても、財産の分け方については民法に「法定相続分」という基準が存在します。
これを理解しておくと、遺産分割の話し合いがスムーズに進むだけでなく、相続税の計算や名義変更にも役立ちます。
代表的な法定相続分(民法900条)
① 配偶者と子
配偶者:1/2、子:1/2(人数で割る)
② 配偶者と父母
配偶者:2/3、父母:1/3(人数で割る)
③ 配偶者と兄弟姉妹
配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4(人数で割る)
よくある誤解:「長男が多くもらえる」は法律上のルールではない
昔の家督制度の名残で、今でもこの誤解が根強く残っています。
しかし現行民法では、子は全員平等に相続分を持つという大原則があります。
遺言書があれば法定相続分は変えられる
「法定相続分」はあくまで、遺言がない場合の基準です。
遺言書には
- 誰に
- 何を
- どれだけ
相続(遺贈)させるかを自由に記載できます。
ただし、遺留分(兄弟姉妹以外の相続人が最低限受け取れる割合)という別の制度がある点には注意が必要です。
相続の基本ルールを理解すると何が変わるのか?
相続の仕組みを正しく知ると、次のようなメリットがあります。
メリット
- 気持ちの整理がつかない中でも、手続きの優先度が分かる
「今は何をすべきか?」が明確になるだけで、精神的な負担が軽くなります。
- 誤解や「思い込み」からの家族トラブルが防げる
思い込みがトラブルのほとんどと言っても過言ではありません。
- 遺言書や生前対策の必要性が理解できる
誰にどう財産を引き継いでほしいかを、早めに考えられるようになります。
- 相続税の試算や不動産の整理がしやすくなる
専門家と連携する際にも、前提知識があるだけで話がスムーズです。
行政書士が相続でサポートできること
女性行政書士としてご相談を受けていると、相続の入り口でつまずいてしまう方がとても多いと感じます。
しかし、相続の基本ルールを押さえるだけで、必要な手続きは驚くほど整理されます。
行政書士がサポートできる業務
- 相続人調査(戸籍の収集)
- 財産調査・遺産目録の作成
- 遺言書作成支援
- 遺言執行者のサポート
- 相続手続きの全体コーディネート
- 不動産の相続登記(司法書士と連携)
- 相続税の相談(税理士と連携)
相続は一度始まると“待ったなし”です。
その中で、安心して手続きを進められるよう支えるのが、私たち行政書士の役割です。
まとめ:相続は「基本ルール」を知ることから始まる
相続は複雑に見えますが、実は次の3つのルールを押さえておけば、本質はとてもシンプルです。
● 相続の3つの基本ルール
1. 相続は亡くなった瞬間に開始する
2. 相続人は民法で順位が決まっている
3. 財産の分け方(法定相続分)も決まっている
この3つを理解しているだけで、
「何から始めればいいか」「どこで判断すべきか」
という迷いが大幅に減ります。
突然やってくる相続に備えて、今日から少しずつでも理解を深めていただければ幸いです。
もし「我が家の場合はどうなるの?」という具体的な疑問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。行政書士として、丁寧に寄り添いながらサポートいたします。
相続のご相談は、名古屋市緑区のけいか行政書士事務所へ
けいか行政書士事務所では、遺言書の作成支援・相続人調査・相続手続き代行など、相続に関するご相談を幅広く承っております。
家族の気持ちや背景に寄り添えるのは、女性行政書士ならではの強みだと思っています。
感情の整理がつかないときも、安心してお話いただけるよう丁寧にサポートいたします。
初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。