【行政書士が解説】公正証書遺言にかかる費用はいくら?―仕組み・内訳・節約のコツまで“全部わかる”完全ガイド

「公正証書遺言って、費用はいくらぐらいかかるんですか?」

遺言の相談を受けると、ほぼ必ずいただく質問のひとつです。

ネットで調べても、「5万円〜」「10万円以上」「ケースによる」と、記事によって金額がバラバラで、かえって混乱してしまう方も少なくありません。

実は、公正証書遺言にかかる費用は、

公証役場に支払う手数料(法定)

証人への依頼料

専門家報酬

実費(戸籍・登記情報など)

など、複数の要素で構成されており、人によって大きく変わります。

この記事では、

  • 公正証書遺言の費用の相場
  • 公証役場の手数料の正確な計算方法
  • 実務で本当に多いケースの費用例
  • 事前に知っておくべき注意点
  • 費用を抑えるコツ

を解説します。

行政書士として遺言作成をサポートしてきた立場から、「実際に相談者の方が悩むポイント」を中心にまとめました。


目次

公正証書遺言の費用は、大きく分けて4種類

まず結論からお伝えすると、公正証書遺言に必要な費用は次の4つです。

① 公証役場の手数料(法定)

法律で金額が決まっており、全国どこでも同じです。

② 証人の報酬

証人を専門家に依頼する場合に発生します。

③ 専門家報酬(行政書士・司法書士など)

遺言内容の設計・文案作成・必要資料の収集・公証役場との調整などにかかる費用。

④ 戸籍や登記事項証明書などの実費

数千円〜1万円程度が一般的。


① 公証役場の手数料はどう決まる?

公証役場の手数料は、次の要素で決まります。

  • 財産額
  • 遺言の内容の数(財産の記載点数)
  • 付随する手数料(正本副本の枚数など)

公証役場の手数料は、財産の額に応じて 段階的に上がっていく仕組みになっています。


財産額による料金表(令和の改定後)

以下は最もよく使う区分です。

財産価格手数料
100万円まで5,000円
100万円超~200万円7,000円
200万円超〜500万円11,000円
500万円超〜1,000万円17,000円
1,000万円超〜3,000万円23,000円
3,000万円超〜5,000万円29,000円
5,000万円超〜1億円43,000円
1億円超〜3億円43,000円 × 1億円ごとに+13,000円
3億円超個別計算(高額)

この手数料に、下記の費用が加算されます。

  • 正本・謄本の交付手数料
  • 文案作成費(遺言内容の点数による)
  • 出張の場合の加算

公証役場の費用だけで、

シンプルなケースで 3万円〜5万円、財産が多い家庭では 10万円〜15万円

が一般的です。


② 証人の費用はどれくらい?

公正証書遺言には、原則として証人が2名必要です。

家族は証人になれないため、多くの方が 専門家に証人を依頼します。

証人報酬の相場

  • 1名 5,000円〜15,000円 が一般的
  • 専門職(行政書士など)に依頼する場合は 1名 1〜2万円程度

つまり、証人2名で、合計 1万円〜4万円程度

が相場となります。


③ 行政書士など専門家の報酬

専門家への依頼費用は、以下の業務を含むかどうかで大きく変わります。

  • 財産調査
  • 法定相続人の調査
  • 遺言内容の設計
  • 公証役場との文案調整
  • 証人の手配
  • 当日立会い
  • アフターフォロー(預かりなど)

専門家報酬の全国的な相場は次のとおりです。

専門家報酬の相場

  • 6万円〜15万円(一般的なケース)
  • 夫婦同時作成:10万円〜20万円
  • 事業・不動産が多いケース:20万円以上もあり

費用に幅があるのは、

  • 遺言を書く人の状況
  • 財産の複雑さ
  • 相続人の人数
  • 公証役場との調整の難易度

などが大きく異なるためです。


④ 戸籍・登記事項証明書などの実費

準備書類としてよく使うものは次のとおりです。

準備書類の実費

  • 戸籍(450円 × 必要通数)
  • 住民票(300〜450円)
  • 登記事項証明書(600円)
  • 固定資産評価証明書(300円〜県税事務所基準)

総額 数千円〜1万円程度が一般的です。


【実例】よくあるケース別の総費用

実際のご相談で多いパターンを、「合計いくらになりやすいか」という観点でまとめます。


【ケース①:財産1,500万円、子ども2人。シンプルな遺言】

  • 公証役場手数料:約2.3万円
  • 証人報酬:1万円〜2万円
  • 専門家報酬:8万円〜12万円
  • 実費:5千円程度

合計:12万円〜17万円

もっとも多い事例です。


【ケース②:不動産が複数、預金口座も多い】

  • 不動産の数だけ記載項目が増えるため、公証役場費用が上昇
  • 財産総額も反映される

合計:15万円〜25万円

不動産を3件以上お持ちの方は、この価格帯になりやすいです。


【ケース③:子のいない夫婦で、相続関係が複雑】

  • 相続人調査が広範囲に及ぶ
  • 公証役場との擦り合わせ回数が多い

合計:20万円〜30万円

戸籍の取得範囲が広く、専門家の手間が大きくなります。


ケース④:夫婦同時に公正証書遺言を作成

  • “夫婦割引”のような制度はなく、それぞれ個別に作成
  • ただし専門家報酬はセット割の事務所も多い

一般的には、合計:20万円〜35万円

が目安です。


費用を安くする方法はある?

実は、公正証書遺言の費用は工夫次第で抑えることができます。


① 財産を細かく分けすぎない

財産を一つずつ詳細に記載すると、その分公証役場の費用が上がります。

例:預金20口座を全部記載する → 高くなる

例:“預金はすべて妻に”と包括指定 → 安く済む

実務上よく使う節約テクニックです。


② 不動産の数をまとめて指定する

「すべての不動産は長男へ」

のように書けば、件数ごとの加算を抑えられます。


③ 事前準備をしっかりする

準備不足で公証役場に何度も相談に行くと、文案調整費用が増えることがあります。

専門家に依頼する場合も、

  • 財産の一覧
  • 登記簿
  • 預金残高

が揃っていると、報酬が安くなる傾向があります。


④ 証人手配を専門家にセットで依頼する

個別に証人を2名手配すると、合計3〜4万円になることもありますが、

専門家事務所ではセットで1〜2万円で対応しているところも多いです。


公正証書遺言の費用が「高い」と感じる理由は?

ご相談の方にお話を伺うと、

多くの方が次のように感じておられます。


遺言書なのに、こんなにしっかりした手続きなの…?

はい。公正証書遺言は“トラブルを防ぐための最高レベルの形式”です。


費用が高いのでは?

遺産分割で揉めた場合の弁護士費用は、数十万〜100万円以上が一般的。それに比べると、公正証書遺言は費用対効果が非常に高いのです。


財産が多くないから必要ない

財産の多い少ないではなく、家族が揉めそうかどうかがポイントです。
実務では、むしろ預金1000万円以下のご家庭のほうが争いが起こりやすいという事実もあります。


公正証書遺言の費用は将来の安心への投資

「公正証書遺言にかかる費用」は、単なる手数料ではなく、未来への安心料です。

遺言を作成することで、

  • 相続トラブルの予防
  • 家族関係の維持
  • 手続きをスムーズにする
  • 負担を家族に残さない

という、何より大切な価値が生まれます。

相続で揉めてしまうと、金額ではなく“家族関係そのもの”が傷つくことも少なくありません。

公正証書遺言は、そうならないための最も確実な方法です。


まとめ:公正証書遺言の費用は内容で変わる。まずは相談を

ここまでの内容をもう一度整理すると…


✔ 公証役場の費用

3万円〜15万円前後が一般的

✔ 証人費用

1〜4万円程度

✔ 専門家報酬

8万円〜15万円(複雑な場合は20万以上も)

✔ 実費

数千円〜1万円程度


総額は12万円〜30万円ほどの方がほとんどです。

財産や家族関係が複雑な場合は、相続人調査や文案調整に時間がかかるため、費用は上がります。

「費用の見積もりだけ知りたい」という相談ももちろんOKです。

費用の不安がある方は、遺言内容が固まっていなくても問題ありません。

財産の概要

家族構成

遺言書の希望

これだけで、かなり正確な見積もりが出せます。


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